『女どうしで子どもを産むことにしました』著:東 小雪、増原裕子 漫画:すぎやまえみこ
【内容】
小雪とひろこは女同士のカップル。「家族」になったふたりが次に考えたのが…「子どもを産みたい!」。新婚のレズビアンカップルが子どもを産むため奮闘する日々を描く、妊活コミックエッセイ。
【感想】
今回ご紹介する作品は『女どうしで子どもを産むことにしました』です。お2人と言えばディズニーリゾートでの挙式で有名ですね。
そのお2人が「新しい家族を迎え入れる」ことを決め、試行錯誤するストーリーとなっています。
同性カップルが新しい家族である子どもを迎え入れるための作品は実は過去にもありました。
今回の書籍ははじめての書籍ではないということもあって、悩むところから決断、迷い実践するところまで、一冊まるまる妊活となってることも特徴です。
【父親の存在】
印象に残ったシーンは「父親」の部分です。
2人は当初、精子バンクなども検討しますが、さまざまな理由で断念。
その理由の一つに「提供者がどんな人か分からない」こと。それゆえ2人は父親に「親戚のおじさん的な立ち位置で子供を見守ってほしい」という希望し、ゲイの友人に精子提供をお願いしました。
しかし、そう簡単にはいかず、「本人はいいけど、家族(親や兄弟)にまで影響すること」「(パートナー側から)パートナーの子どもは自分の子どもでもあるから父親として子育てをしたいと主張」「おじさん的立ち位置は無理。秘匿にしてほしい」など理由はさまざまだけど、
知り合いからの精子提供は相手、相手のパートナー、相手の親族にまでかかってくることなので、一筋縄ではいかないのが現状のようです。
お2人の言う精子提供者に対しての「おじさん的立ち位置」とは違うかもしれないけれど、アメリカの様なオープン・アダプション(オープンな養子縁組)だと実母とのつながりを持てる方法があったりするけれど、今の日本の状況じゃ難しいのかもしれない。
個人的には書籍の中のお2人は「血のつながり」や「産むこと」に強くこだわっている感じがして、それゆえに悩む姿がなんとも心苦しく感じました。
【家族に必要なのは?】
そして「同性カップルが子を望むことはエゴなのか」といった話も随所にあり、特にテレビ番組の件ではそのバラエティ番組を実際に観ていたので、あの冷たい空気感はなんとも言えませんでした。
確かに今はまだ同性カップルが子育てをするという目立ったロールモデルがないため不安に感じることも多いと思います。
そしてそれを払拭するかのようなニューヨークでの同性カップルとその子どもたちによる幸せそうなファミリーたちにであい、そして家族に必要なのは「Honest(誠実)」だと知る。
書籍でもテレビ番組のスタジオとニューヨークの家族の温度差はとても感じました。
この書籍を読んで私は血の繋がりとか身籠ることそのものも大事かもしれないけれど、子どもや家族に「Honest(誠実)」でありたいと思いました。
そしてこの書籍が今までのステレオタイプの家族のスタイルについての認識が変わるきっかけにもなれたらなと思います。
【関連作品】
▼『レズビアン的結婚生活』→こちら
※著者の前作のコミックエッセイ。ディズニーリゾートでの挙式について描かれています
▼『ゆりにん レズビアンカップル妊活奮闘記』→こちら
※レズビアンカップルの妊活についてのコミックエッセイです。
▼『キッド――僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか』→こちら
※ゲイカップルのオープン・アダプション(オープンな養子縁組)により子どもを迎え入れるまでも自伝書です
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